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「後宮学園・外伝 チェス部訪問編 第3部」1 - チキンライス
2026/05/05 (Tue) 10:04:58
「チェス部に部室をあげたいと思っているんだ」 僕のサインした書類を確認している秘書のめぐみにそう告げた。 「部室、、、ですか?」 「そう、ドラマ出演が決まったお祝いにね」 先日の約束。何がいいかといろいろと考えていた。 文科系の部活では軽音部が音楽室、美術部が美術室と部室をもつ部もあるが、ほとんどの部活が部室なしだ。 この状態を解消すべく、全部活に部室を用意することにしたのだが、まずはチェス部から始めることにしたのだ。 「D棟の南側、使っていなくて倉庫になっているよね。そこを部室にしよう」 「D棟ですか、、、、たしかにあそこには使用していない部屋が複数ありますね」 こうしてチェス部部室が決まった。
数日後、部室の工事も終わったため、さっそく八人全員を集めて、案内することになった。 「おい皆!今日は特別な場所へ連れて行くぞ!」 放課後、校舎裏に集合させると、八人の少女たちがわくわくした表情で集まってきた。 まずは3年生で部長の新井紀沙が代表して訊いてくる。 「どこへ行くんですか?」 「いい場所だよ。ついてきなさい!」 彼女たちを引率してD棟へ向かった。建物の外観を見ただけで、2年生の香月詩歩が目を丸くする。 「えっ……D棟?ここって使われてるんですか?」 「最近まではほとんど放置されていたんだ。でもこれからが本番だ!」 階段を上がりながら説明すると、3年生の大城菜美が不安そうな顔をする。 「ご主人様……まさか廃墟みたいなところじゃないですよね?」 「まあ、ちょっと前まではね。でも心配無用さ!」 最上階に着くと、廊下の奥にある扉を指差す。古びた鉄製のドアが重々しく見えた。 「さあ、開けてごらん」 鍵を開けたのは、一年生の菊地歩美だ。彼女が慎重に取っ手を回し、扉を開ける—— 「……わぁっ!!」 その瞬間、室内から差し込む光に照らされて部屋の中が見えた。埃っぽい空気と共に現れたのは広々とした空間。 「こ、、、ここは一体、、、、」 「す、、凄いですね!」 最初に驚きの声を上げたのは、部長の新井紀沙だった。彼女の視線の先には、中央に設置された重厚な木製テーブルと椅子のセットがあった。テーブルの上には既に何枚ものチェス盤が整然と並べられ、駒まで配置されている。 「これっ、、もしかして私たちの部室ですか!?」 3年生の大城菜美が信じられないといった顔で周囲を見渡す。 部屋は思ったより広く、奥行きのある空間だった。壁際には頑丈なロッカーが並び、その扉にはそれぞれ名札が貼られている。どうやら個人用ロッカーらしい。 「見てください!私のもあります!」 1年生の麻生繭佳が嬉しそうに自分の名札を見つけ駆け寄った。隣の菊地歩美も小さく「私の名前も……」と呟いている。 さらに奥には別室への入り口が。扉を開けてみると、そこには小さなクローゼットのようなスペースがあり、ハンガーと収納棚が整然と並んでいた。 「これは……公式大会用の衣装部屋ですね!」 2年生の古田絵美が理解したように声を上げる。 「ちゃんとした服が必要ですからね!」 普段は学校指定の制服やカジュアルな私服で活動していたチェス部にとって、公式大会ではスーツや正装が必要になることがネックになっていたのだ。この専用の更衣室があれば、練習中に着替えたり道具を揃えたりできる。 「わあ!ソファもある〜!」 結城早苗が入口近くの応接セットを見つけて飛び跳ねている。重厚感ある黒革のソファとテーブルセットが一角に置かれ、壁際には観葉植物も配置されている。 「疲れたときの休憩にも使えますね」と言いながら香月詩歩は試しに座り込む。 「うわ〜ふかふか!」 「なるほど……ご主人様の計らいなんですね」 3年生の瀬戸司が全体を見回しながら感慨深げに言う。 「みんなが集中して練習できる環境を作ってくれたんですね」 確かに、今まで雑然としていた視聴覚室の一画とは違い、完全にチェスだけに特化した空間だ。部長の新井は目に涙を浮かべている。 「こんな素敵な部室がもらえるなんて……!ありがとうございます!」 他のメンバーも次々に頭を下げ感謝の言葉を述べる。 「それじゃあ……せっかくだし公式大会に出る3年生、一度試着してみないか?公式大会を前にどんな感じか確認できれば安心だろう?」 僕が提案すると、3年生3人は少し緊張しながらも目を輝かせる。 「賛成です!」「そうしましょう!」と口々に答える中、衣裳部屋に消えていく姿を見送る。しばらくすると最初に出てきたのは瀬戸司だった。 「ど、、どうでしょうか……」 彼女は紺色ベースの細身のパンツスーツを着用していた。上質なウール素材で仕立てられたジャケットは肩パッドなしの軽快なデザインで、シンプルながら洗練された印象だ。襟元には薄いブルーのタイを締めている。 「おぉ……!」思わず声が漏れる。 「とても似合ってるよ!大人っぽくて素敵だ」 彼女は頬を赤らめて「ありがとうございます……!」と小さく頭を下げた。続いて大城菜美も姿を見せる。 「どうでしょう……私はこういうのは初めてで……」 大城が着ていたのはネイビーブルーのワンピースドレスだった。ハイネックで袖部分は七分丈のベルスリーブになっており、膝下までの長さがあるクラシカルなデザイン。胸元には控えめなリボンがあしらわれていた。 「すごく落ち着いた雰囲気があって良いじゃないか!清楚だけど華やかさもあって完璧だ」 「本当ですか……よかった……」大城も安堵の表情を浮かべる。 最後に残ったのは新井紀沙だった。なかなか出てこないので「もう準備できたかい?」と声をかけると―― 「ご主人様、これは完全にドレスコード違反ですわ」
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